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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年昨日、昼休みに買ってきて、暇々に読んで、挙句の果てには夜の講習の間にも読んで、一気に読んでしまいました。
ということで、感想のような書評のようなものと少し。
前作『1Q84』でそうだったように、今作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』でも、通奏低音のように音楽が流れています。それはリストのピアノ曲集『巡礼の年』です。村上春樹の作品と音楽は切り離せないもののようです。さて、物語は高校時代の仲良し5人組の1人であった主人公があるきっかけで残りの4人から突然絶縁され、十数年後になってその謎解きをするという、簡単に言ってしまえば喪失と再生の話です。例によってところどころに不思議な挿話が入ってくるものの、基本的には現実的な世界の話でした。初期の『国境の南、太陽の西』に似ているような気もします。公式サイトによると『1Q84』的なものとは違ったものを書きたかったということですが、『海辺のカフカ』のようなファンタジックなものではなく、初期作品のような主人公の心の動きに主体をおいたものだったのかと。
正直なところ、大作ではないので、何か凄いものを期待して読むと肩透かしを食らうかもしれません。まぁ、読んで損はありませんけれど……。私もかなり駆け足でストーリィを追いかけて読んだので、深い部分での理解が足りない気もします。ゆっくり、1文1文を噛みしめながら読むとまた違った印象になるかもしれません。